*心エコー(心臓超音波検査)
心臓超音波検査(心エコー)とは、人の耳には聞こえないほどの高周波数の超音波を心臓に発信して、返ってくるエコー(反射波)を受診し、心臓の様子を画像に映し出して診断する検査です。X線撮影やRI検査のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦や乳幼児でも安心して受けることができます。
心臓超音波検査で何がわかるのか?
この検査を行なう目的は心臓の形の異常を発見する形態的診断と心臓の働きを見る機能的診断です。心臓が動いている状態をそのまま観察できるとても有用な検査です。カラードップラー法を行なうと、心臓の中の血液の流れを映し出すことができます。
心臓超音波検査はどのような検査か?
ベッドに仰向けになって寝ている状態で、プローブと呼ばれる超音波発信機を肋骨の隙間に沿うようにあてて行なわれます。プローブと皮膚の間には隙間が開かないように、ゼリー剤を塗ってピッタリと密着させます。プローブは超音波画像モニターに繋がっており、その場で医師が画像を見て診断します。
検査にかかる時間は20~30分ほどです。
異常な場合に疑われる病気
心肥大、拡張型心筋症、各種の弁膜症、心拡大、心筋梗塞、先天性の心臓病、弁狭窄症など
*24時間ホルター心電図24時間
ホルター心電図は、小型軽量の装置を身につけて、日常生活中の長時間の心電図を記録して、これを解析して観察する検査です。不整脈と冠動脈が痙攣する冠攣縮性狭心症は、短時間の心電図検査や負荷心電図検査では診断がつかないため、実生活の中で心電図を記録し続けるこの検査が欠かせません。
ホルター心電図で何がわかるのか?
日常生活で不整脈や心筋虚血が起きるかどうか、あるいは症状が心臓に起因するのかどうかがわかります。また、最高、最低心拍数や不整脈の種類、数、発生時間や心拍数との関係などから、不整脈の診断やペースメーカーの機能評価、薬物治療効果を判定することができます。
ホルター心電図の使い方
写真のように、胸に電極を取り付け、テープレコーダー型の機械(腰に固定)を携帯して、心電図を記録します。記録された心電図はコンピュータで解析し、診断をつけます。
検査結果の判定
携帯中に不整脈や胸痛などの自覚症状が出現した場合は、その症状と心電図を対比させ、また、自覚症状がなくても、不整脈が出現していれば心電図で検出され、診断に役立ちます。この検査で、発作性頻拍症、発作性心房細動、期外収縮や危険な不整脈の診断がつきます。同様に狭心症が出現したときも、心電図に異常が現れますので診断がつきます。
異常な場合に疑われる病気
不整脈(不整脈は30種類以上のタイプがあり、それぞれで治療法も異なりますのでしっかりと診断が必要となります)
狭心症
*負荷心電図
心電図検査は安静に保ちながら行いますが、運動で心臓に一定の負荷(負担)をかけ、その時の心臓の変化を観察するのが負荷心電図検査です。
安静時は健康体と変わらないのに、運動中や仕事中に狭心症の症状が出ることがあります。このように狭心症の疑いがある場合には、心筋での酸素需要を高め、心筋の虚血(心筋に酸素が十分供給されない状態)を意図的に誘発することによって異常の有無を調べることができます。また、通常の心電図検査で異常があったときや、運動中の胸痛、不整脈などの症状があるときによく行なわれる検査です。
負荷心電図検査はどのように行なうのか?
負荷をかける度合いは年齢や性別、病気の程度により異なりますが、運動方法は主にマスター法、トレッドミル法、エルゴメーター法の3通りがあり当院ではマスター法を行っています。検査時間は5-10分程度。
マスター法
安静にしている状態での心電図をとり、合図に合わせ階段昇降台を昇降し運動負荷を行います。そして運動後1分、3分、5分、10分後の心電図をとり、安静の状態での心電図と比較します。
異常な場合に疑われる病気
狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈をともなう病気
*頸動脈エコー(頸部血管超音波検査)
一定方向に強く放射され直進性が高いという超音波の性質を利用して、頚部の血管や血流の状態を調べ、動脈硬化の状態や、脳梗塞の危険性を調べる検査です。
この検査は、患者に苦痛を与えない安全で手軽な検査で、頚部にプローブ(超音波発信器)を押し当て、血管壁、血流の様子を画像化します。検査時間は数分から20分です。
頚部は、心臓から脳あるいは脳から心臓へと巡る血管の通り道です。もしその通り道が狭くなったり、血液中に血のかたまり(血栓)などが混じっていたりすると、脳や心臓の血管を詰まらせる危険性があります。
この検査法では、断層画像をとることができるため、血管壁内の状態、血管表面の状態、血管内腔の状態を見ることができ、動脈硬化を視覚的にとらえ診断することが可能です。
頚動脈の動脈硬化は脳梗塞の原因となるため、この検査は頭部MRI・MRAと並んで脳ドックで行われる代表的な検査項目の一つとなっています。
また、高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満を有する人や、その境界値にいると考えられる人に対して、脳および心臓疾患の発症予防や動脈硬化判定に有用です。
*動脈硬化検査(CAVI/ABI)
(CAVI)動脈のかたさ動脈のかたさを表すのが「CAVI」です。動脈は血液を全身に送るポンプの役目を果たしていますが、ポンプの内側の圧力(血圧)が変化したときのふくらみ具合をみることによって、ポンプのしなやかさ、つまり動脈のかたさがわかるというものです。動脈硬化症が進んでいるほど、「CAVI」の値は高くなり、9.0を超えると約半数が脳動脈か心臓の動脈である冠動脈に動脈硬化症を発症しているという研究結果もあります。
柔らかでしなやかな血管血圧が上がると大きくふくらむ | 動脈硬化症を起こした血管血圧が上がってもふくらみは小さい |
(ABI) 2動脈の詰まり (足の痛み)足の動脈の詰まりを表すのが「ABI(エービーアイ)」です。足首の血圧を横になった状態で測定すると、健康な人では腕の血圧と同じくらい、あるいは少し高い値となります。しかし足の動脈が詰まっていると、腕の血圧に比べて足首の血圧は低くなります。そのため「腕の血圧」と「足首の血圧」の比をみて足の動脈の詰まりを診断するというもので、その値が0.9未満であると詰まっている可能性が高く、その値が低いほど重症になります。
また、その症状は「足の痛み」としてあらわれることが多いといわれています。
(血管年齢)3血管年齢同じ性別、同年齢の健康な方の「CAVI」平均値と比べることで、「血管年齢」がわかります。「CAVI」が9.0未満であっても「血管年齢」の高い方は動脈硬化症の進行が早いと考えられます。